いよいよ今年も残すところ1ヶ月半。
2022年、私にとってはここ数年で最も濃い1年となりました。
渡米し、さまざまなご縁を経て、
大きく成長させていただいた1年でもあり、
「アート」という部分においては多様な視点が加わり
自分自身の作品を大きく変化させていくための思考を鍛える1年でもありました。
お客様への還元はアートを通して。
これは開業当初から変わらぬ信念であり、
良いことも悪いことも全ての経験を通して、それを感性としてアートに変換してきた７年間。
アートとして自身の経験を落とし込むには、全ての感受性をフルに解放する必要があるので、
何もかもに敏感で時にはそれが弱点にもなるのだけど、
結局全て美しい作品に昇華できるのなら、それでいいんだと自分を納得させながら創作活動を続けてきました。
結果、毎度完成させる作品が「過去一美しい作品」を更新させていけているのだと思います。
つまりサロンワークが何よりも実践の場所！
久々のお客様作品をご紹介させていただきます。
“下弦の月”
新月に向かう半月。
暗闇を切る光の祭典。
伝統工芸ネイル素材を使用した10本フルアート、
藍rishのメニューの中で最も贅沢なアートメニューです。
私の創作活動に欠かせない伝統工芸ネイル。
本物の伝統工芸士の手がける商材を使用しているため、
「私の」というには語弊があるかもしれません。
最終形態としてお客様の爪に乗るこの作品は、
紡がれ、受け継がれてきた日本の美しい伝統文化があってこそのもの。
今日に至るまで、
途絶えることなく継承されてきた歴史があってこそのものです。
最初にこの工芸品を生み出した方が、
現代でもその美しさが人の爪の上で輝き続けることを知ったら、
どんな風に想うだろう。
常に鑑賞し続けられる、いつもどんな時の目に入る、人の爪の上で。
そんなことを考えると、なんてロマティックなんだろうとときめきが止まらないですよね。
スーパーロングのお爪のお客様。
なんと自爪で！ご自身でメンテナンスしていただきながらこの長さを保っていただいています。
オフする前はスカルプ2枚MAXに相当する長さ。（超業界用語ですが笑）
ベースジェルを残せるところは残して、劣化している部分は全て除去して厚みを均等に塗り分けて。
お客様ごとにではなく、お爪１本１本に合った施術方法を選択しています。
選択肢を増やすためには知識が必要。
ネイルアートにはアートの感性だけではなく、爪に対する知識や使用するジェルの知識も必要となるので、
複合的に「学ぶこと」を常に更新し続けることが重要です。
それから、そのお客様のことも。
生活の変化、仕事の変化、気持ちの変化やその季節のイベント。
小さな変化一つで体質も、お爪の扱い方も変わっていくので
オフする前の爪の状態、オフした後の爪の状態、
全てカルテに記入して今ベストなベース作りを心がけています。
元々お爪が長く、面積が広いということはアートを乗せるキャンバスが大きいということ。
こちらの作品は黒系の螺鈿彩４種、
七宝焼きの炭透を使用しました。
それから赤のオパールも少し。
メタリックシルバーで繊細なアートと合わせて、
大胆で統一された色彩の中に動きをつけています。
大切なのは目の前のお客様にいかにフィットして、馴染んでいるかということ。
派手だからいいというわけではなくて、
お客様にとってソワソワしない爪先で1ヶ月気持ちよく過ごせるということ。
「自分の作品」ではなく、あくまでそのお客様ただ一人にとって最高の作品であることが絶対条件。
だから同じ”下弦の月”というテーマで制作しても、
お客様が変われば同じ作品にはならない。
そういうオリジナリティが発揮できるのは、やはりお客様あってこそ。
ブログの中でも何度も何度も、何度も書き続けていることですが、
藍rishはそういうネイルサロンです。
だから「創作ネイルサロン」と謳わせていただいています。
お客様と創るから生まれる作品がある。
私一人では生み出せないもの。
ここに関しては今後どの場所で、誰の爪に施術しても、ずっと変わらない。
変化のある日々の中に、変わらない核を持ち続けること。
それが軸であり、信念だと思っています。
ネイルチップに作品を作ること以上に、人の爪に直接一発本番で最高傑作を描くことが何よりも楽しい！
ネイルアートは本当に楽しい。
一人でも多くに、ネイルアートの楽しさと喜びが広がりますように。
